デジタル商品をどこで売るか。BASE、STORES、note、BOOTH、ココナラ、Etsy。比較記事はもう何本か読んだと思います。
それで、決まりましたか。
たぶん決まっていません。手数料表を見ても決まらないからです。理由は単純で、手数料表はあなたの条件を知らないからです。
この記事では、3つの質問で候補を絞り、最後に手数料と機能を照合できるところまで整理します。数字はすべて各社の公式ページから 2026年7月29日 に取得したものです。出典URLは全部末尾に載せています。
結論:3つの質問で候補を絞る
先に答えを出します。
質問1|買い手を自分で連れてこられますか
連れてこられない場合(=内部検索や回遊から見つかる可能性がある販路を優先する)
| 売るもの | 販路 | 手数料 |
|---|---|---|
| 文章・記事 | note | 実質14.5%(カード決済時) |
| 創作物・素材 | BOOTH | 5.6% + 45円 |
| 実用テンプレ・資料 | ココナラ | 22%(税込) |
| 海外向け | Etsy | 6.5% + 6% + $0.30 + $0.20 |
これは「出せば売れる」という意味ではありません。各サービス内で検索・回遊される可能性がある、という切り分けです。商品カテゴリーや規約との適合も確認してください。
連れてこられる場合 → 質問2へ
質問2|月商はいくらですか
自分で集客できるなら、まず同じサービス内の無料プランと有料プランを比較します。
| 比較 | 有料プランが手数料面で候補になる目安 |
|---|---|
| STORES フリー → スタンダード | 月商約17万円(年契約時) |
| BASE スタンダード → グロース | 月商約33万円(単価3,000円・年払い時) |
この2つの金額は、それぞれのサービス内でプランを切り替える目安です。「17万円未満なら必ずSTORES」「33万円以上なら必ずBASE」というサービス間の優劣を示すものではありません。
質問3|継続課金をやりますか
やるなら、note の定期購読マガジンはプラットフォーム利用料が20% です。有料記事・メンバーシップの10%とは別物なので、混同しないでください。
以下、根拠を全部出します。
なぜ手数料表では決まらないのか
比較記事はどれも手数料の一覧表を載せています。それでも決まらないのは、表が3つのことを飛ばしているからです。
1つ目。表は「1件売れたとき」しか比較していません。 月に3件売る人と月に300件売る人で、最適解は変わります。
2つ目。表は「買い手がどこから来るか」を無視しています。 手数料が1%安くても、誰も来ない場所なら売上はゼロです。
3つ目。表は月額固定費と料率を並べて置くだけで、損益分岐点を出しません。 月額3,300円のプランと手数料が1.9%安いプラン、どちらが得かは割り算をすれば一発で出ます。この記事ではその割り算をやります。
各社の手数料(2026-07-29 時点・公式ページより)
| 販路 | 手数料 | 月額 |
|---|---|---|
| STORES フリー | 決済手数料 5.5%〜 | 0円 |
| STORES スタンダード | 決済手数料 3.6%〜 | 3,300円(年間契約)/ 3,960円(月額契約) |
| BASE スタンダード | 決済手数料 3.6% + 40円 + サービス利用料 3% | 0円 |
| BASE グロース | 決済手数料 2.9%(サービス利用料 0円) | 16,580円(年払い)/ 19,980円(月払い) |
| BOOTH | サービス利用料 5.6% + 45円 | 0円 |
| note | 事務手数料(決済手段別)+ プラットフォーム利用料 10% | 0円 |
| ココナラ | 販売時の手数料 22%(税込) | 0円 |
| Etsy | 出品料 $0.20 + 取引手数料 6.5% + 決済手数料 6% + $0.30(日本) | 0円 |
note の手数料は二段構え
note だけ計算方法が特殊です。
- まず 事務手数料 が引かれます。率は購読者が使った決済手段で変わります。
| 決済手段 | 事務手数料 |
|---|---|
| クレジットカード | 5% |
| 携帯キャリア決済 | 15% |
| PayPay | 7% |
| Amazon Pay | 7% |
| noteポイント | 10% |
| PayPal | 6.5% |
- その 残額に対して プラットフォーム利用料10%が乗ります(定期購読マガジンは20%)。
- 別途、振込手数料270円(振込1回につき1回)。
カード決済の場合、実質14.5%で固定 になります。
Etsyは日本の決済手数料が6% + 0.30 USD
ここは調べていて一番驚いた点です。
Etsy の決済手数料は銀行口座の所在地ごとに違います。公式のEtsyペイメントポリシーに国別の表があります。
| 所在地 | 決済手数料 |
|---|---|
| 日本 | 6% + 0.30 USD |
| ドイツ・フランス | 4% + 0.30 EUR |
| オーストラリア(国内注文) | 3% + 0.25 AUD |
| カナダ(国内注文) | 3% + 0.25 CAD |
ネット上には日本の手数料を「4% + $0.40」とする記事もありますが、2026年7月29日時点の公式表では 6% + 0.30 USD です。
さらに同じページに、こう書かれています。
日本にお住まいのセラーは、Etsy ペイメントの登録にあたり、直接、第三者の決済提供業者である Payoneer に登録する必要があります
Payoneer の支払いサービスを利用するセラーは、通常、取引額の最大 3% までとなる Payoneer の引き出し手数料(略)の対象となることがあります
この引き出し手数料は、すべての取引に一律3%が加算されるという意味ではありません。Payoneerの利用条件によって、引き出し時に最大3%程度の手数料が発生する可能性があります。以下の手取り計算には含めていません。
1件あたりの手取りを計算する
実際に計算します。Etsy の円換算は 1USD=160円 で計算しました(2026-07-29 の実勢は TTB 162.99 / TTS 163.49)。振込手数料は除いた概算です。
| 販路 | 1,000円 | 3,000円 | 10,000円 |
|---|---|---|---|
| STORES フリー | 945 | 2,835 | 9,450 |
| BOOTH | 899 | 2,787 | 9,395 |
| BASE スタンダード | 894 | 2,762 | 9,300 |
| note(カード決済) | 855 | 2,565 | 8,550 |
| Etsy | 795 | 2,545 | 8,670 |
| ココナラ | 780 | 2,340 | 7,800 |
定率だけでなく「1件ごとの固定額」が効く
販路によって、定率手数料だけでなく1件ごとの固定額があります。
- BASE スタンダード:6.6% + 40円
- BOOTH:5.6% + 45円
- Etsy:12.5% + $0.50(この表の計算条件)
BASEとBOOTHは、端数処理を考慮しない単純計算では商品価格500円が境目です。500円未満ではBASE、500円を超えるとBOOTHの手取りが多くなります。
Etsyとnote(カード決済)は、Payoneerの引き出し手数料などを除くと約4,000円が境目です。表でも3,000円ではnote、10,000円ではEtsyの手取りが多くなっています。
Etsyには、出品料 $0.20 と決済手数料の固定分 $0.30、合計 1件あたり $0.50 の固定費があります。1USD=160円なら80円です。
- 1,000円の商品 → 80円は 8%
- 10,000円の商品 → 80円は 0.8%
10倍違います。単価を変えて比較するときは、料率だけでなく1件ごとの固定額も見てください。
なお Etsy の数字には、Payoneer の引き出し手数料(最大3%)と通貨換算手数料(2.5%)を含めていません。円で出品して口座がドルの場合、通貨換算も乗ります。
手数料だけでなく「見つけてもらう仕組み」を見る
表をもう一度見てください。並び順に意味があります。
| 区分 | 販路 | 手数料 |
|---|---|---|
| 外部集客が中心になりやすい | STORES | 5.5%〜 |
| 内部検索・回遊がある | BOOTH | 5.6% + 45円 |
| 外部集客が中心になりやすい | BASE | 6.6% + 40円 |
| 内部検索・回遊がある | note | 14.5%(カード決済時) |
| 内部検索・回遊がある | Etsy | この表の条件で12.5% + $0.50 |
| 内部検索・回遊がある | ココナラ | 22% |
ココナラやnoteの手数料が高いかどうかは、料率だけでは決められません。内部検索、決済、購入者とのやり取り、信頼を補う仕組みなどもサービスに含まれるからです。
一方、STORESやBASEを自分のショップとして使う場合は、外部からの集客導線を別に用意する必要があります。BASEにはPAY IDなどの接点もありますが、出店しただけで流入が保証されるわけではありません。
BOOTHは比較的低い手数料で内部検索・回遊がありますが、創作物や素材との相性を確認する必要があります。手数料が安いことと、自分の商品が見つかりやすいことは別の問題です。
損益分岐点を計算する
次に、月額固定費のあるプランへ切り替える目安を計算します。
STORES:フリー → スタンダードは月商17万円
フリープランは5.5%、スタンダードプランは3.6%。差は 1.9ポイント。
月額3,300円(年間契約)を1.9%で回収するには、
3,300 ÷ 0.019 ≒ 173,000円/月
月商およそ17万円。手数料と月額だけを比較するなら、ここを超えたあたりからスタンダードの支払総額が少なくなります。
手数料と月額だけを比較するなら、月商17万円未満ではフリープランの支払総額が少なくなります。ただし、スタンダードプランの追加機能に価値を感じる場合は別です。
月額契約(3,960円)を選んだ場合は、
3,960 ÷ 0.019 ≒ 208,000円/月
およそ21万円。年契約か月契約かで、分岐点が4万円ずれます。
BASE:スタンダード → グロースは月110件
スタンダードは実質6.6% + 40円、グロースは2.9%。
単価3,000円の商品で比べると、1件あたり スタンダード238円 / グロース87円。差は 151円。
16,580 ÷ 151 ≒ 110件/月(=月商およそ33万円)
単価3,000円なら月110件、月商にしておよそ33万円。月払い(19,980円)を選ぶなら132件、月商40万円まで上がります。
この分岐点は単価によって変わります。BASEを比較するときは、月商だけでなく月間の注文件数も確認してください。
乗り換えコストと独自ドメイン
「とりあえず始めて、あとで変えればいい」と考えている場合、変えたときに何が失われるかを先に知っておいてください。
- 販路を変えると商品ページのURLが変わることがあります。 外部リンクは貼り替えやリダイレクト対応が必要です
- レビューや販売実績は、原則として新しい販路へそのまま引き継げません
- 購入者リストの扱いは各社の規約次第です
そこで、販売サービスとは別に独自ドメインの案内ページを持つという選択肢があります。販売先を乗り換えても案内ページのURLは維持でき、リンク先だけを新しい商品ページへ変更できます。
独自ドメインをショップへ直接設定できるかは販路やプランによって異なります。独自ドメインそのものと、各販路の商品ページ・レビュー・販売実績が移せるかどうかは分けて考えてください。
この記事で確認できなかったこと
正直に書いておきます。
- 端数処理:公式に明記があるのは note(切り捨て)と BOOTH(切り上げ)のみ。他は概算です
- STORES の通常振込(翌月末)の振込手数料:公式ページで確認できませんでした(スピードキャッシュ利用時の275円のみ確認)
- BOOTH の振込手数料:公式アナウンスに記載がありませんでした
- Etsy の設立手数料:一回限りの費用が発生しますが、金額は公式ページで確認できませんでした
手数料は改定されます。 BOOTH は2025年10月28日に 5.6%+22円 から 5.6%+45円 に上がりました。必ずご自身で最新を確認してください。
出典(すべて 2026-07-29 取得)
- note「コンテンツを販売する際に引かれる手数料」
https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360011358873
- BASE 料金プラン
- STORES ネットショップ 料金
- BOOTH「サービス利用料改定のお知らせ(2025年10月28日より)」
https://booth.pm/announcements/832
- ココナラ「コンテンツ販売の手数料について(コンテンツマーケット)」
https://coconala-support.zendesk.com/hc/ja/articles/45826864474265
- ココナラ「売上金の受け取り方法」(振込手数料)
https://coconala-support.zendesk.com/hc/ja/articles/218722247
- Etsy「手数料と支払いに関するポリシー」
https://www.etsy.com/jp/legal/fees/
- Etsy「Etsy ペイメントポリシー」(国別の決済手数料表・Payoneer の記載)
https://www.etsy.com/jp/legal/etsy-payments
この記事は動画版もあります。 電卓で実際に計算しているので、数字の出どころを確認したい方はそちらもどうぞ。
